見守りノート / ひとり暮らしと安全
ひとり暮らしと安全「緊急連絡先がない」が、国の福祉の課題になった
2026年6月19日、社会福祉法などの改正法が成立しました。大きなニュースにはなりませんでしたが、ひとりで暮らす人にとっては意味のある変化です。
これまで家族が担ってきたこと
厚生労働省の資料は、改正の背景をこう説明しています。「頼れる身寄りがいない高齢者の方や判断能力が不十分な方などが、地域で安心して生活を続けるよう、日常の金銭管理をはじめとする日常生活支援、入院や入所の手続、亡くなった後の手続など、これまで家族や親族が担ってきた生活上の課題に対応する仕組みが求められています」。
そこに「生活上の課題の例」として挙げられているのが、次の四つです。
| 緊急連絡先がなく、入院等の手続が進められない |
| 医療費等の支払いが難しい |
| 亡くなった後の手続きを行う人がいない |
| 空き家や家財の処分ができない |
国の福祉事業として位置づけられる
改正法は、日常生活の支援、入院・入所の手続支援、亡くなった後の事務支援を、利用者のうち一定割合以上に無料または低額で提供する事業を「第二種社会福祉事業」として位置づけました。社会福祉協議会だけでなく、多様な主体がこの支援を担えるようになります。あわせて、介護・障害・生活困窮それぞれの相談窓口で、身寄りがいない人からの相談に応じることも明確にされました。
この部分の施行は、法律の公布後2年以内に政令で定める日とされています。制度として動きはじめるまでには、まだ少し時間があります。
「連絡先の欄」の先にあるもの
入院の手続き、施設の入所、役所の届け出。日本の暮らしの多くの場面には、緊急連絡先を書く欄があります。その欄が埋まらないという困りごとが、個人の事情ではなく社会の課題として法律に書き込まれた。それが今回の改正のいちばん大きな意味かもしれません。
そして「緊急連絡先がない」という状態は、書類の話にとどまりません。ふだんの様子の変化に気づく人がいない、ということでもあります。制度が担うのは、困りごとが起きたあとの手続きです。その手前にある日々の「気づかれ方」は、やはり身のまわりの関係のなかにあります。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65歳以上のひとり暮らしは2050年に約1,084万人。制度と、ふだんのつながり。その両方が要る時代に入っています。
出典
- 厚生労働省『社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について』(2026年6月19日成立)
mhlw.go.jp(PDF) - 国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和6年推計』
ipss.go.jp(PDF)
最終更新: 2026年9月10日。統計は公表年を明記し、更新があり次第見直します。数値は原典をご確認ください。